2024/07/17投稿者:ミケジョ事務局

30代後半の転職成功術:選び方とアピールポイント

「30代後半になると転職が難しい」と耳にすることも多いですが、実際はどうなのでしょうか。30代後半でも希望に沿った転職を実現するためには、どのようなスキルをアピールし、転職先を選ぶ際に注意すべきポイントがあるのでしょうか。組織人事コンサルタントの粟野友樹氏に、その実情と成功のコツを伺いました。

 

◆30代後半転職の現実:難しいのか?

厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、35~39歳の求人数は2000年から2019年の間に約28.1%増加しています。これは、30代後半の活躍に期待する企業が増えていることを示しています。つまり、転職のチャンスは十分にあると言えるでしょう。

 

しかし、20代に比べると30代後半にはより高いスキルレベルが求められます。20代はポテンシャルを重視されることが多いですが、30代後半になると、具体的な経験やスキルが評価の中心となります。企業が求めるポジションに対して、適切なスキルを持っているかどうかをシビアに判断されるため、転職の難易度は上がる傾向にあります。

 

◆条件の整理:優先順位をつけよう

30代後半になると、年収やポジション、役割や裁量など、転職先に求める条件も多くなります。しかし、すべての条件を満たすのは難しいため、まずは求める条件をすべて洗い出し、優先順位を付けましょう。

 

例えば、年収と裁量権を優先したいと考える場合、転職市場の現実を把握することも重要です。転職市場の動向を把握するためには、転職サイトの求人情報をチェックしたり、転職エージェントに相談して現状をヒアリングすると良いでしょう。

 

◆スキルアピールのポイント:専門スキルとポータブルスキル

30代後半の転職では、スキルのアピールが重要です。まず、自分の強みとなり得る専門スキルと、どんな環境でも活かせるポータブルスキルを洗い出しましょう。

 

例えば、コミュニケーション能力やプレゼンスキルなど、転職先でも活かせるスキルが評価されれば、早く転職先が決まる可能性があります。自分の経験を振り返り、これらのスキルを具体的にアピールすることが重要です。

 

◆転職で年収は上がるのか?

厚生労働省の調査によると、30代後半の転職で年収が上がる人は37.4%、下がる人は33.7%です。企業規模の違いが大きな影響を与えることが多く、大手企業に転職すると年収が上がるケースが多いようです。

 

一方、ベンチャー企業に転職する場合は一時的に年収が下がることもありますが、キャリアアップや給与アップを狙うことも可能です。転職後の成長性を見込んで挑戦する姿勢も大切です。

 

◆異業種・異職種転職は可能か?

30代後半でも異業種・異職種への転職は可能です。異業種・異職種転職の割合は年々増加しており、企業が多様な人材を求めていることが背景にあります。

 

異業種・異職種を目指す場合、現職との接点を見つけることが重要です。例えば、自動車メーカーでの経験を活かしてコンサルティング会社に転職するなど、関連性のある経験をアピールすることが成功の鍵となります。

 

◆マネジメント経験がなくても転職できる?

マネジメント経験がなくても転職は可能です。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、30代後半の転職者が最もアピールした点は「これまでの業務実績」であり、マネジメント力を前面に出していない人も多いことが分かります。

 

しかし、企業は30代後半にリーダーやマネージャーを期待することが多いため、若手の指導・育成経験などがあれば、それをアピールすると良いでしょう。

 

◆30代後半の転職成功事例

事例1:IT企業の人事 → 医療機器メーカーの人事

 

Aさんは大手IT企業で採用全般に関わっていましたが、医療機器メーカーの求人に応募し、中途採用の仕組み作りを任されることになりました。年収は多少下がったものの、転職先で採用業務を一手に引き受け、大活躍しています。

 

事例2:人材関連企業の法人営業 → IT企業のカスタマーサクセス

 

Bさんは人材関連会社で法人営業を担当していましたが、カスタマーサクセスという仕事に魅力を感じ、IT企業に転職しました。年収はほぼ同じまま、テレワークで仕事と育児を両立しながら働いています。

 

事例3:地方銀行の法人営業 → 教育関連企業のFC開拓営業

 

Cさんは地方銀行で法人営業をしていましたが、地元へのUターン転職を決意。異業種である教育関連企業に転職し、FC開拓営業を担当しています。勤務先の規模は小さくなり、年収も減りましたが、地元でのびのびと働いています。

 

まとめ

30代後半の転職は、求められるスキルが高くなる一方で、転職のチャンスは十分にあります。自分のスキルをしっかりとアピールし、転職先を選ぶ際には条件の優先順位をつけることが重要です。成功事例を参考にしながら、自分に合った転職先を見つけ、キャリアアップを目指しましょう。